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北海道で暮らす人・暮らし方
恵庭市

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今回うかがったのは、恵庭市にある玉造株式会社(たまつくりかぶしきがいしゃ)恵庭工場さん。
道内における鋼板溶断加工の最大手として、1日100t以上もの生産量を誇る老舗企業です。
直接目にすることはほとんどないので、鋼板と聞いてもピンとこない方も多いかもしれませんが、多くの建物や建造物の骨格を担う、大切な部材なのです。

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迎えてくれたのは、今日の主人公、北嶋里江さんと、工場長の辻村真喜さんです。
頂いた名刺には「第5工場 場長代理」とありますが、北嶋さん、いったいどんなお仕事をされてるのでしょうか。

「では、まずは工場全体のことからお話しますね」と素人の私たちにお二人が説明してくれます。
「敷地内は全部で5つの建屋(工場)からなります。第1工場は材料をおくヤード工場と、BHの溶接をするBH課から成ります。第2工場は厚板専門、つまり大きな板を切る専門工場で、プラズマ機械もここにあります。言ってみれば溶断のメイン工場ですね。第3工場は、今チカラを入れている2次加工をする工場です。例えば「開先加工」といって、鉄と鉄をつなぐ(溶接)ために、つなぎ目の部分を薄くする加工作業があります。通常、この開先加工は納入後にお客様が自身で行っているのですが、この開先加工を納入前にこちらでやることによって、お客様の手間が省けます。あとは孔(あな)開け、などもそうですね。ボルト用の孔をあけるのも実はすごい時間がかかる作業なのですが、これをこちらでやりあらかじめ孔が空いた状態で納入しています。そのために、夜間に無人で孔開けができる機械(NCガントリードリル)なども導入しています。こういった2次加工を行うことで、鋼板に付加価値をつけ、商品価値を高めています」

「H鋼というのが建物によく使われる鋼材なのですが、みなさんも体育館の天井などで見たことがあると思います。しかし、規定のサイズ、つまり既製品しかないんです。最近は建物も高層化していて、もっと大きなH鋼が必要なので、それを溶接してオーダーメイドでつくるのがBHです。それも付加価値のひとつですね」と教えてくれました。

最近では、道内だと創世スクエア、道外だと新国立(競技場)、などに関わっているとのこと。まさに『地図に残る仕事』ですね!

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さて、工場の説明を続けてもらいます。
「第4工場はレーザー工場です。そして第5工場が北嶋のいる工場です。ここは弊社ならではのシステムになってまして、作業のロスが少ない=ロスナイ工場と呼んでいます。どういうことかというと、従来の機械は並列に並び、出来上がった鋼材はクレーンで持ち上げて移動させるのに対して、この工場は機械が円形に配置され、鋼材はコンベアーで移動させることができます。これにより安全性が飛躍的に増すだけでなく,効率もUPするんです。ちなみにこのシステムは特許も取っています。現在5名いる女性のオペレーターのうち3名がここで活躍しているんですよ」と辻村さん。さらに

「これらの機械と設備で、現在切れないものはほとんど無いです!何でも切れる。鉄に興味のある人なら面白いと思いますよ!」と笑顔で続けます。

なるほど、その最先端の第5工場の場長補佐、つまり第5工場のナンバー2という立場が北嶋さんなのですね。
高校を卒業してすぐに入社し現在11年目ということで、かなりのベテランさんになるのでは、と聞いてみると
「ベテランですか?とんでもない、まだまだです! 勤続40年の先輩とかには全然かなわないです。やっぱり技術の向上にはきりがないですから」と笑います。

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謙遜する北嶋さんですが、そもそも入社のきっかけは何だったのでしょうか
「高校3年生の時に、今の常務が求人説明会に来てくれたんです。もともと事務職とかには興味が無く、カラダを動かせる仕事、ということで探していましたが、さすがに鉄工所とかは頭になかったんですけどね。でもせっかくだから工場見学にいってみようかな、と見学に行ってみると、意外と面白そうでしたし、当時からすでに女性のオペレーターも活躍していて、それも決め手になりましたね」
すると、辻村さんが
「2002年頃から、弊社の副社長が『人口減も進む中、男性だけ雇っていては生産性が落ちる』と、女性の社員を積極的に採用する取り組みをし始めました。多いときは10人もいましたが、どうしても出産などで、2~3年のサイクルで辞めることが多かったんです。その後はさらに待遇面などの改善を重ねてきまして、実は北嶋が、10年以上経験を積んでいる初めての女性オペレーターなんですよ。ロスナイのように、女性も安心して働ける環境づくりを早くからしてきたからこそですね」とつなげます。

「今はすごく働きやすいです!」と笑顔で話す北嶋さんの様子から、女性も安心して働ける、理想のものづくり現場なんだな、ということが自然と伝わってきます。

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それを象徴するようなことが最近あったそうで、北嶋さん含め女性社員と女性役員の計5名が、北海道機械工業会主催の海外視察に参加して来たそうです。聞けば、過去10年で女性が参加すること自体初めてだったそうです。しかも一つの会社から5名も!

「視察先はモンゴルだったのですが、私は海外自体が生まれて初めてでしたし、他の会社がせいぜい1~2名、しかも社長クラスの人材が来る中、うちの会社は私たちを行かせてくれました。それがものすごく嬉しかったです。いくつかまわった現地の工場では、色々なことを学びましたが、改めて日本ってすごいなと思いました。技術レベルがとても高いということを改めて実感して自信になるとともに、もっともっと技術を磨きたいと思いました」

北嶋さん、実はもう一人の女性社員とともに、札幌商工会議所のものづくり表彰の若手部門で最優秀賞にも選ばれたことがあるんだとか。その時のことは
「表彰式の様子がテレビに取り上げられ、親や親戚にそのテレビを通して頑張ってる姿をみせることができ、安心してもらえたかな、ととても嬉しかったです」と振り返ります。

なるほど、会社とのウインウインの関係が伝わってきます。

苦労を乗り越えて

でも、きっと良いことばかりではないはず、何か辛かったことも聞きたい!という私たちのひねくれた質問には
「最初の3年間ほどは、仕事がとにかく覚えられなくて。。失敗することも多々あり、そのたびに先輩に迷惑をかけるのがとにかく辛かったです。あれが挫折ですかね、きつかった~(笑)」と今の姿からは想像できない意外な答えが。

ガスの溶断では、まっすぐきれいに切ることが求められますが、これが初心者には至難の技だそう。
「何度やっても切り口がガタガタになってしまい、その都度先輩に全部直してもらいました。でもうまくなるにはとにかくやるしかなくて。目で見て音で聞いて雰囲気を感じて、何か具体的な数字があるわけでもないので、とにかくカラダで覚えるしか無いんです。それが3~4年続きました。自分は人より不器用なので、うまくできるまでに長く時間がかかりました」

そんな時期が3年以上とは! 普通なら途中で心が折れてしまってもおかしくない長さです。そんな北嶋さんを支えたのは何だったのか聞いて見ると、上司の言葉で印象に残っていることがあるといいます。

「その頃、自分のせいで上司が上の人に怒られることが時々あって、申し訳なくてあやまりにいくと、『自分は責任者だから、怒られるのは当然、それも含めて手当てももらってる。それが俺の仕事だから気にするな』と言ってくれたんです。その言葉は忘れられないし、今でも信頼する上司ですね」

と、涙が出そうな答えが返ってきたのでした。きっと、北嶋さんのがんばりは、上司のみなさんにもしっかり伝わっていたのでしょうね。

ダーツ選手としてのもう一つの顔

さて、今の業務に全力投球しているような北嶋さんですが、何と休みの日はプロのダーツ選手として活躍しているというではないですか! そのバイタリティーには驚くばかりですが、そもそもなぜ、ダーツだったのでしょう。

聞けば北嶋さん、何と小学校1年生から少年団で野球を始め、中学校では男子に混じって野球部で活躍していたそう。思わず、ソフトじゃなく野球ですか?と聞き返してしまいます。しかも、ポジションはピッチャーとのこと!
さらに中学校2年生からは女子の社会人チームにも参加、部活と社会人チームを掛け持ちます。高校に進むと次第に社会人チームに主力を置くようになり、玉造さんに入社する頃には、苫小牧のチームに属してキャッチャーもつとめるようになっていました。

「結構すごいピッチャーだったんですよ(笑) 得意な玉は縦スラ(縦スライダー)でした!」とにやり。格好良すぎです!

全国大会にも常連として参加、新聞に取り上げられることもあったそうです。

そんな野球一筋の北嶋さんが、ダーツに出会ったのもやはりこの会社がきっかけでした。ある日、新しく入社してきた新入社員さん、趣味がダーツということで、それなら1回みんなでやってみようか、となりやってみたのがきっかけだったそう。

「やってみたら、ドはまりしました! 夢中で練習して、休みの前の日だと夜の7時に始めて気がついたら次の日の朝だということもざらでしたね。もう気持ち悪いくらい練習してました」

何でもとことん突きつめる性分なのかもしれない北嶋さん。野球からダーツに傾いていった心境を自分なりに分析してくれました。

「今迄は野球という団体戦をやっていたのが、個人戦に切りかわったんですね。勝っても負けても全て自分の責任です。ただでさえ負けたらめちゃくちゃくやしいのに、個人で負けると何倍もくやしいことに気づきました。負けず嫌いなんです。自分より強い女の子がいるのは許せない」

ここで一同思わず爆笑! でも、その負けず嫌いには関心するばかりです。その強い気持ちが今の仕事の成功に繋がっているのは間違いなさそうですね。

「北嶋、ダーツ、で検索するとたくさん出てくるんですよ。以前は北嶋、野球、の方がたくさん出てきてたんですけど最近はダーツの方が上にきますね」と辻村さんが教えてくれます

その言葉通り、北海道ではかなり名前が認知されるようになっている北嶋さんですが、北海道から一歩でると、全く通用しない、まだまだですと言います。ちなみに負けず嫌いの北嶋さん、現在のライバルを聞いてみると

「今一番のライバルは35才位の、全国でも強豪の有名な女性です。初出場で優勝するようなすごい人です。勝ちたいというよりは、その人を超えてもっともっと上に行きたいと思っています」ときっぱり。どこまでも上をみる姿勢は一貫しています。

仕事もプライベートも頑張れる理由

仕事とプロ選手活動を両立させ、充実の日々を送る北嶋さんですが、それを可能にしているのはどんなことなのでしょう。
北嶋さんは言います。「ほんとにのびのび仕事させてもらってます」と。この言葉がとても印象的で、今の職場環境を表しているように思います。

会社として、早くから生産効率や、安全性を意識し「男性だけ雇っていては、いずれ生産性が落ちる」と危機感を持ち、環境の改善を進めてきた玉造さん。それらの取り組みの結果、残業も減り休日も年間で125日にまで増えたと言います。
まさに無理の無い勤務体系がオフの充実につながり、オフの充実がモチベーションを維持する、という好循環。
遠征の多いプロ活動も、こうした勤務環境や、応援してくれる会社の皆さんがいるから続けられるのですね

これから目指すもの

ダーツの世界でもトップを目指す北嶋さん、最後に今後の職場での目標を聞きました。
「今は場長補佐という役職を頂いてますが、その上を目指したいと思っています。このような役職をもらったのは女性では私と、もう一人が初めてなんです。ということは、ここからは新しい役割をいただく度に、女性で初、ということになります。これはすごく楽しみです。その初めてを自分がつくっていきたい、まだ誰もやっていないことをやっていきたいなと思います」

実際に、クレーンや玉掛け技能の資格も取得するなど、今の技術の向上だけでなく、仕事の幅を広げる為の努力も怠りません。
それらの行動を、「開拓!!」と表現してくれた北嶋さん。どんな場面でも、開拓精神で切り開いていくことでしょう。

辻村さんにも、今後の目標を聞いてみました。すると
「北海道で一番の企業になる、ということは常に意識しています。その為にも、まずはみんなが入りたいと思ってもらえるような会社にすることですね」と答えてくれました。

インタビューの途中で何気なく聞いた、社員の方のやりがい、というキーワードに対して、少し考えてから
「新人さんに『お、うまく切れてるじゃん!』と直接声をかけると、すごく嬉しそうないい顔をしますね」と言ったときの笑顔が印象的で、北嶋さんや若手社員さんたちをいつもこんな感じで見守っているんだろうな~ということが想像できたのでした。

今や、働き方は人それぞれ。会社やシゴトが全てではない時代です。でも全てではないからこそ、仕事中はできる最大限の努力をする、そんな働き方、とても格好いいなと今回の取材を通して改めて思ったのでした。

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住所

北海道恵庭市柏陽町3丁目215

電話

0123-32-2275

URL

http://tamatsukuri.co.jp


誰もやっていないことをやる! それが私のモチベーション

この記事は2019年10月1日時点(取材時)の情報に基づいて構成されています。自治体や取材先の事情により、記事の内容が現在の状況と異なる場合もございますので予めご了承ください。